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芥川也寸志さんは「音楽の基礎」という本の冒頭で、音楽の素材として「音」よりも先に「静寂」を挙げている。
それに倣って、もし僕が今「写真の基礎」という本を書くとしたら、写真に必要なものとして「光」より先に「暗黒」を挙げるだろう。
写真の黎明期、今のように感材の感度は高くなくて、人が体感できるゆったりとしたスピードで真っ暗な箱の中で感材が光を受けてその度合いに応じてじわじわと化学的に組成を変化させていく、そのことの実感を伴う中でこの行いの結果は「フォトグラフ」と名づけられた。
絵画がまばゆい光の中に暗部を配置していく作業なのに対し、写真は闇に光を当てて描いていく作業だ。
センサーが光を受けてそれが瞬時に演算されて電気信号として記録される世になっても、断固としてそうなのだ。

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展示会期中に玲子がやってくれた針穴写真のワークショップに、僕も参加。
30分ほどのレクチャーを受けたあと、近場の公園に出かけて撮影の実習をした、そのときに撮った中の1枚。

その日に買ったばかりの癖もなにもわからないカメラで、構図は意図したのとずいぶん違ってしまったし、おそらく公称値より小さめのピンホールが開いてる個体なのではないかな、露出も計算通りにいかずにアンダーになってしまって、そういう意味では失敗。失敗だったなんて言うと蚊に刺されまくりながら計3分間もじっと立っていてくれたかやちゃんに申し訳ないけれど。
でも意図通りではなかったが、玲子師匠の霊験あらたかさがたっぷりな感じで、わりと気に入ってる。
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